グルッペ通信 2004年年始号

 新年あけましておめでとうございます。旧年中は皆様方には大変お世話になり、誠にありがとうございました。本年もグルッペスタッフ一同、皆様方のご支援とご厚情に報いるべく、よりご満足の頂ける店創りを目指して頑張ってまいります。
 このオーガニックの世界に関わる生産者、製造者、流通を担う皆さん、そして小売りの私達、お客様方お一人お一人の間係を強め、生産・製造から消費までが一本の赤い糸によって結ばれた、有機的関係を持つ小宇宙とすることが私達の願いです。そしてこの小宇宙はいつも閉じられた世界では無く、その志を有する人々にとって、開かれた世界であるべきだと思います。
そしてその為に、私たちは店頭に並ぶ商品ひとつひとつに責任を持ち、絶えず品質濃度を高めていくことが私達の責務だと考えております。安心、安全、おいしさ、を前提としつつ、その商品は、生産・製造過程において絶えず環境保全に配慮され、さらには有機農法、自然農法の普及と拡大への努力が裏打ちされているものに厳選されていなければなりません。

さらに自然条件の中で人工的に作り上げるのが「農業」だとはいえ、その地域の環境保全は、農業者の健康な土造りを通して為されていくものです。そうした農業者を積極的に支援していくことが、私達の使命だと考えております。

収穫物の農法に、品質に、さらには産地の環境保全に互いの意識を高め合う気持ちと、産地と消費地、生産者と消費者が互いに支え合うという気持があれば、また、物の流れにメッセージを沿え、顔の見える関係性を作り上げれぱ、既存の農産物の流通も、もっと違った形態が可能性としてあったのではないでしようか。

いわば、産地で生産された収穫物は消費地の私達へのメッセージそのものなのです。互いを支え合う、互いの熱い思いを交わし含う、この関係はなんと素晴らしいことではありませんか。

農業生産は光と水と土地によって成し遂げられる共同作業です。そして生産物は環境条件、気象条件によって規定され、左右されます。農産物のひとつひとつの品々が姿、形、味において立派に生産される時もあれば温度条件、降雨条件によって不作や不出来の年もあります。お客様のお一人お一人がそうしたときに生産地や生産者のことを思いやって頂ければ、生産者は、どんなに勇気づけられることでしよう。

農業は生命を育む仕事です。いついかなる環境や時代にあっても人間の生存上、もっとも基本的な産業であり仕事です。これまでの日本の歴史は国造りの礎を農業とし、その地域や国民を養ってきました。

そして、生命を育む土地の現場こそ、同時に青少年を教育する恰好の現場です。今日の農村の衰退は、都市での犯罪の激増、モラルの荒廃、家庭の崩壊と期をいつにしています。そして多くの人々は還るべき故郷を失い、心のよりどころを失いつつあります。

今や日本の食糧自給率はカロリーベースで40%を下回りつつあります。これは先進国の中で最低のレベルです。豊かな自然、豊かな水に恵まれたこの日本列島は現在の総人口1億2千5百万人の倍の人工を養うに足る、農業生産力を保持しているにも関わらずです。

私は有機農法、自然農法の拡大、深化を通して、目本の自然を再生させ、健全な農業を発展させたいと願っています。そのため、グルッペスタッフ一同、微力ながら頑張ってまいります。

本年も皆様、どうぞよろしくお願い致します。

(代表 稲津恒巳)

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